協働コーディネートの実務ってどんなことを言うの?

sukeru2005-03-17

(写真は2002/2/23 とばみなとのプロムナードを考えるWS第一回の様子。事業の概要は
http://www.pref.mie.jp/KEIMACHI/HP/zigy/toba-hodo/machi3.htm
第一回のテーマは、
「とばみなとのプロムナードをステキにするにはどうしたらいいか」ビジョンつくりのKJ法、現地を歩いて、写真をとって半日かけて開催)

備忘録。協働コーディネートという仕事を僕は行っているつもりだ。まだ、職能として確立されてはいないのだが、「中間支援」の仕組みのうち、協働に関わる分野の広義の参加のデザイン部分をコーディネートする職能である。鳥羽市での活動を例にとると


1. 独立した権限を持ち、各課の政策決定プロセスに「協働の実現」の立場からアドバイスし、必要があれば指導する、Check機能。

 僕には残念ながらどんなに「責任」を持って活動しようとも権限はない。限定的に、相談を受けた事業、提案をした分野について関わっている。正式に委託されることもあるが、ほとんどは、緊急避難的に、ほおっておくと、行政と市民の間に双方善意のまま、とりかえしのつかない溝が生まれるため、ほとんど無報酬に近くてもやらざるを得ないことが多い(見えているのは僕の立ち位置からだけなのだ)暫定的に、無理やり提案して行っている、実務者WSが、この、実務である。

2. 各会議の生産性を上げ、住民参加の機会を確保し、地域のしあわせづくりにコミットした参加のデザインを創造する機能

 鳥羽小学校用地選定懇話会WSは、これにもあたる。快適空間TOBAでの活動も、僕はこのスタンスである。(無償事業が多すぎて、生活のためやむを得ず今は関わることができない)
 鳥羽みなとのプロムナード整備事業の市民参加のWSも、これにあたる。ただ、プロムナード事業も、緊急避難的なWSであり、その市民参加度は、やむを得ない事情で極めて限定的だ。その欠点が完成、メンテナンスの段階に入ったとき主体的に関わる市民意識の未成熟という形で露呈するだろうと僕は考えています。非常に限られた資源と期間の中で勇気ある市民参加型の公共事業であり、先駆的モデルゆえの宿命である。(苦い思いだが)(ちなみに、当時は「協働」という言葉や概念すら、まったく一般には知られていなかった。)
 誤解をまねかないように書くと、プロムナード事業は、従来は高潮護岸対策という純粋に技術的な面からの工事であったものが、さまざまな関わりから急遽、鳥羽のみなとの「顔」としての、地元の「観光アセスメント」を認めていただき実現をした経緯があり、有形無形のかけがえのない思いがこめられたものであり、そして、デザインに関わっていただいた方のコンセプトメイキングの力量、海がみえる遊歩道というソフトと、高潮護岸というハード機能要求を同時に満たすという、難題の解決など、「内容」はすばらしいものであるのだが、それを貫くべき協働のスタンスが未成熟であり、僕たちも力不足であったということなのである。(変則的に、伊勢志摩NPOネットワークの会の、協賛法人である鳥羽商工会議所青年部ファシリテーター派遣をするという形で協働の部分をサポートしたのだが、意見具申のうち、調整に次ぐ調整を重ねて、参加のデザインの実践面では極めて限定的なWSとなった。市民の目から見ればアリバイづくりと批判されても仕方がないと内心忸怩たる思いである。もっと力を使ってでも僕たちの考え方を押すべきであった。ほとんど無報酬であるということの意味は、予算に伴う「責任と権限」を得られなかったということなのだ。市民参加度が限定的であった理由は、一般市民対象のWSをコーディネートする会議体と専門家+代表市民の会議体とに、プロムナード事業の企画が分断され不連続になってしまったことが上げられる。よって一般市民から見ればWSの成果の反映と情報公開、企画が計画段階での参加度が薄く感じられせっかくの思いを生かせず背を向ける結果となり、また、専門家グループとひざ詰めで企画を練り上げていった代表市民にとってはその努力が外に伝わりにくく、正当な評価が得られにくいという、みんなが善意のままボタンを掛け違うというプロセスをつくりあげてしまった)
 限定的な「協働」では「協働」による真の効果は得られない。協働のまちづくりでは、事業のゼロの段階からメンテナンス、未来にいたるまで、一貫して、「予防」的に協働のスタンスをつらぬく安定した「制度」が必要なのだ。僕たちの仕事は、当該事業のデザインや機能、つまり「内容」を高めることでは、実は、ない。事業の各段階においてどれだけ「協働」のスタンスでやれるかという、プロセスの質を向上させることなのだ。ここらへんが理解されにくいところだ。いくらどんなにデザイン的に機能的にすばらしいものが出来ても、みんなが関わって「思いいれ」によってほんとうにまちの「公共のもの」にならなければ、それはただの、魂の入っていない箱にすぎないのだ。
 そこで得た課題を解決するために、僕は、三重県における社会資本整備を県民と協働で行う条例づくりの研究会委員として、「協働の実務」の確立のために微力を尽くしているのだ。

3. 各事業を「協働」という観点から、その透明性、住民参加度などにおいてCheckし、次につなげる評価機能

 鳥羽市まちづくり提言市民会議の中、行財政改革部分のグループ委員としての活動がこれにあたる。そして鳥羽市まちづくり提言市民会議を、市民のくらしのものさしで振り返るという「評価」のセッションにすべきだと提案した、非公式WSアドバイザーとしての活動もこれにあたる。


4. 上記を、行政の機能として確立、定着させるための「協働のまちづくり」と「まちのファシリテ−タ−養成」のための研修機能

 これはもちろん、鳥羽市職員ファシリテーター研修に代表される、「協働の技術講座」や最近需要の多い、協働のさまざまな事例から、肌で、現場を感じる行政マン向け「協働のスピリットを養う講座」である。


 これらの活動の意義、上記協働コーディネート機能に対する考察を論文にまとめて発表したものが、以下、である。
NPOのいきづくまちづくり、協働のまちづくり、講演等の要旨伝えたいこと
http://ponpo.net/NPOreport/repo-sukeru.html